今年のマイベストブック その8
『14歳からの資本主義 君たちが大人になるころの未来を変えるために』 丸山 俊一 大和書房 2019年
タイトルから分かるように10代向けの本ですが、この内容を著者から指摘されなくても知っている大人はまずいないと思うので、
ワーキングママもワーキングパパも自分自身の教養のために、
我が子が社会科の勉強を始めたときに、一緒に日本の経済を考えられるように
ぜひ読んでいただきたいです。
私は社会科は好きな科目だったのですが、経済分野に関してはワクワクやドキドキもなく終わってしまい、ただテストのために勉強していた感じでした。
そのため「資本主義」と言われると「社会主義」の対だよね?という認識程度でした。
ソ連がなくなって、今は中国も完全なる社会主義国ではない部分もあるので、
資本主義=自由に商売をして、儲かった分だけお金持ちになる社会がうまくいく国なのかなあ〜と、漠然と思っていたのですが、社会人として働いて、リーマンショックや震災やコロナや外国の戦争をニュースで見聞きしながら子育てをしていると「資本主義が絶対!」というわけではないことは感じているのですが、じゃあどんな経済活動をする社会だったらいいのか、そもそも資本主義の国ってなんだろうと・・・。
今の資本主義国家の定義は自分が中学で学んでいたときのように単純ではなく、突き詰めていくと学者の中でもその定義付けに意見が分かれることに驚きでした。
個人的にはトーマス・セドラチェクという経済学者の
『資本主義は必ず(ずっと)成長するものだ、というのはおかしい。ずっと晴天と決めつけて船を造るようなもので、そんな航海はありえない』
という考えが妙にしっくりきました。
(他にもいろいろな学者や専門家の言葉が紹介されているので面白いです)
新しい商品やツールが出た当時は「こんなもの役に立たない、売れない」モノだったのに数年後には知らない人がいなくなるくらい売れることや、全く別分野で研究が進んでいたものが思わぬ業界を救ったりすることもあることもある・・・
だから先のことを見通せないことは不安でもあるが、極端に絶望する必要もないのでは?と私は思いました。
今回のこの本は特別に世界や日本の未来が明るいものだとも、暗いものだとも決めつけてはいません。
過去というものは過ぎ去ってからではないと、客観的に見れないものなので、明日の経済がどうなるのか、正しい経済なのかは過去にならないと分からないのだと、再認識できたことは良かったと思います。
不安なことは「何が分からないのかが分からない」ことであって、「分からない」ことがあることに絶望する必要はないのだなあと、今回、この本で学びました。