今年のマイベストブック その9
『ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話』 上橋菜穂子 津田篤太郎 文藝春秋 2017年
学生時代に知ったときから
「いつか子供が生まれたら読んでほしい作家だなあ」
と思っていました。
今回紹介したい本はそんな作家と医学博士・津田篤太郎氏の往復書簡から生まれたお話です。
津田氏のことは私は特に存じ上げていないのですが、文章から滲み出る優しさにきっといいお医者様なのだろうなあと思います。
作家ならではの視点、医師としての視点、生物学の視点、文化人類学からの視点などなど・・・
ひとつの話題から湧き出てくる二人の深淵なる考察、言葉が時折びっくりするほどきらめいているというか・・・
生と死について冷静に真面目に語り合っているのですが、そこに著者たちの人柄と考察力が相まって、読み物としていい相乗効果を生み出しているなあ・・・と思いました。
個人的には『見えるもの、見えないもの』という上橋さんの書簡が、私個人の感覚というか、私自身の哲学感?に近い感じがして印象的でした。